フェリシモ ハッピートイズプロジェクト

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ハッピートイズ通信 こどもたちへの寄贈の様子など、プロジェクトの最新情報をお届けします。

2010年9月月27日(月)
カテゴリー: 2010年度寄贈レポート

ザンビア共和国のこどもたちへの寄贈レポート

ザンビア共和国のこどもたちへの寄贈レポートが現地より届きましたのでご紹介いたします。

今回はハッピートイズを「特定非営利活動法人AMDA社会開発機構」の協力を得てザンビア共和国のこどもたちに贈りました。

AMDA(アムダ)は、2004年より、首都ルサカ市の低所得者居住区において貧困層を対象とした結核対策事業に取り組んでいます。 現在、ザンビア共和国ルサカ市およびその近郊7箇所で、結核治療ボランティアを育成し、ボランティアによる 1.ヘルスセンター結核コーナーで、服薬の説明など治療アシスタント活動 2.結核患者家庭訪問活動 3.コミュニティーでの保健教育活動などを継続しています。

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AMDA Zambiaの活動地のひとつ、ルサカ市マテロ地区の15歳以下の小児結核患児を対象とし、ザンビアの子どもたちへの支援のためのイベントを8月25日に行いました。 当日は60名の子どもたちとその兄弟や保護者、合わせて150名近くが集まり、身長および体重測定、結核教育、栄養教育、寸劇、紙風船での遊び、高タンパク栄養補助食料の配布、そしてこのイベントにあわせて貴社よりお送り頂きました「ハッピートイズ」と「幸福のチョコレート」の贈呈、と盛りだくさんなイベントとなりました。

6月中旬、日本からの長い長い道のりを旅してきたハッピートイズの箱を開けて驚きました。
皆様の手作りのハッピートイズはひとつひとつが個性にあふれてかわいらしく、私達スタッフも思わず歓声を上げて作業の手を止めてしまうこともしばしばです。
センスの良い小さな飾り、タグにつけている名前と皆様からのメッセージ、細いところまで愛情が感じられ、これはしっかり子どもたちに届けなければ、と決意を新たにしました。

8月25日の開催当日は、現在結核治療中の子どもたち60名が次々に会場に現れ、ご両親も合わせて150名あまりの参加者であっと言う間に部屋がいっぱいになってしまいました。
受付で身長と体重を計り、始まりの挨拶をして、午前中は結核と、バランスのとれた食事についての話です。真剣に話しを聞くお母さんと一緒に、配られたフルーツジュースを飲みながらおとなしく話しを聞いている子、退屈してちょこちょこ歩き回っている子、会場は活気にあふれていました。

まじめなお話の後は、地元の劇団が会場の庭で子どもたちに歌とダンスを披露し、結核をテーマにした寸劇をユーモアたっぷりに演じて、場内は何度も笑いに包まれました。
お昼は庭で結核治療ボランティアの女性陣が、大鍋でつくった主食のシマ(トウモロコシの粉を練ったもの)、フライドチキン、4種の野菜炒めを大盛りにふるまってくれました。
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そして午後はお待ちかねのハッピートイズとの対面です。ひとりひとりの名前が呼ばれ、はにかみながら出てくる子や心配そうに出てくる子、皆に次々にハッピートイズが手渡されました。
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ハッピートイズはチテンゲというザンビアの伝統的な布でできた小さなポーチを下げていて、その中に「幸福のチョコレート」が入っています。
意外なことに、チョコレートはすぐに食べてしまうのかと思いきや、どの子も皆、食べずにポーチの中に大事に戻していました。 家に持ち帰って、兄弟姉妹で分け合うのだそうです。
最後に参加者たちは高タンパク栄養補助食料を受け取って笑顔で帰っていきました。
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結核は治療に6-8ヶ月かかり、その間子どもたちは毎日薬を飲み続けなければなりません。どうして毎日にがい薬を飲まなければならないのか、小さな子どもにはなかなか理解ができません。病気について理解できる齢の学齢期の子どもには別の問題があります。結核は人に移る病気、ということで嫌がられ、差別をなくす運動が広がりをみせているものの、まだ時には、結核の児童が遊び友達の輪に入れてもらえないことも起きてしまうのです。

今日は笑顔でいっぱいの子どもたちの中にも、つらい思いをした子もいることでしょう。
ハッピートイズをショールで幾重にもくるんで、両手で大切そうに抱きしめて帰る女の子、きっと今晩はこの新しいお友達と一緒にねむるのかもしれません。

朝早くから夕方までのイベントで、スタッフはぐったりと疲れきっていましたが、子どもたちの笑顔に、日本からの小さな幸せが確かに届けられた、と感じた一日でした。

結核は、咳やくしゃみなどを通じて誰にでも空気感染する危険性のある、とても身近な病気です。とくに、1980年代の世界的なHIV/エイズの蔓延により、結核に感染する人が多く報告されるようになりました。これは、結核が、HIV感染による免疫力の低下により発症する主要な日和見感染症であることが大きく関係しており、HIV感染者の死因の第一位でもある結核は、世界中でいまなお猛威をふるっています。

ザンビアはHIV推定感染者数約120万人、結核患者数約7万人の高蔓延国です。私たちアムダが活動しているヘルスセンターでも、誕生時に母親からHIVの感染を受けてしまった子どもたちがおり、HIVの抗ウイルス薬と同時に結核治療を受けている子どもが少なくありません。

近年、首都ルサカには、多くの人々が仕事を求めて流入しており、マーケットやバスでは人が密集し、家では多くの人が小さな部屋で一緒に眠る、という結核が人から人へ感染しやすい状態となっています。 ルサカ市保健局や各ヘルスセンターの尽力により、結核患者数の急激な増加は防げてはいるものの、対策に気の抜けない一進一退の状況が続いているのです。

また、上下水道の設備が不十分な低所得者居住区では水があふれ、回収しきれないごみと一緒に汚水が溜まり、結核にかぎらず様々な感染症が拡がりやすい環境となっています。今年も4月にはコレラの流行が、7月には麻疹の流行がおこり、何人もの子どもたちが命を落としました。
ザンビアの子どもたちを取り囲む環境はこのように大変厳しいものなのです。

今回、AMDAの活動地マテロで、貴社の「ハッピートイズ」「幸福のチョコレート」によるザンビアの子どもたちへの支援のためのイベントを開催させていただいたのは、そのような厳しい環境の中、結核との長い闘いを続けている子どもたちに、笑顔と元気を届けたいと考えたからです。
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日本では昔の病気と思われがちな結核も、ザンビアでは未だに猛威をふるっています。子どもが結核に感染するリスクは常に存在し、特に十分な栄養を取れていない貧困層の子どもやHIV陽性の子どもは結核感染のリスクが高くなります。貧しさやHIVとの闘いにさらに追い討ちをかけるように、結核が、そして周囲の無理解や差別が、子どもたちにのしかかってくるのです。しかし、過酷な状況の中でも、ザンビアの子どもたちは、たくましく遊び、笑顔を忘れません。

AMDA Zambiaはこれからも結核と闘う子どもたちの側に寄り添い、彼らの成長を見守っていきたいと思っております。

工藤 ちひろ  AMDA Zambia プロジェクトマネージャー
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近日、関連動画をアップする予定となっています。お楽しみに。

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